高山市 T様邸 古民家再生事例

継承するということ~住まう人・集う人のハッピー物語~

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【築100年】
完工年月 平成18年8月
見学会の参加はこちらから

身体が不自由な母が暮らしやすい家にしてあげたい・・・

お寺の庫裏という特殊なお住まいを『住まう人』『集う人』の視点に立ち、使い勝手と心地よい距離感に努めました。身体が不自由な母が暮らしやすい家にしてあげたい...
古民家完成見学会にご来場いただいたご夫婦からそんなお言葉をいただいたのがきっかけでした。
お寺の庫裏という特殊なお住まいは、過去何回となく増改築をしてきました。が、その時に必要な事のみの工事は、現在の暮らしには不便な事ばかり。そして、何度となく重ねられた改築によって痛々しい状態でした。本来の庫裏としての機能と住職とその家族の住まいが渾然一体となっているため、葬儀などの寺の行事の際は不特定多数の人々が住まいを行き交い、家族のプライベートがないがしろにされていました。段差も無数にあり、歩行に杖が必要なお母さんにとってはとてもつらい状況でした。身体の不自由な母親の生活動線を楽にしてあげたいとのご要望でした。新建材で隠してしまった梁組を元に戻し、古民家の素晴らしさを次世代に伝えていきたいとのご要望も伺いました。

歩行に杖が必要なお母さんにとって不便な事ばかり

私生活とお寺行事を営む空間を区画。(それぞれの動線を考えて...)
・お母さんの動きにあわせた部屋。
・寒いという問題を「断熱」と「暖房手段」で解決。
・折角の古民家を活かしたデザインと仕上げ。

■LDK:帰りたくなる家
寺と住居の動線を分化させることを基本に設計。玄関、キッチン、トイレを個別に設ける為、いくつかあった和室を檀家用の玄関や法務室、キッチンとし、家族用の玄関を新設しました。天井裏に隠れていた太い梁組みを現し梁の太さに負けないLDKの広さを確保する為、断熱性能を高め薪ストーブでの暖房手段を用いました。壁には西洋漆喰を塗り古民家仕上げとしました。

■玄関:しあわせの集う入り口
それぞれの玄関は四季の草花をモチーフにした障子戸で仕切り気配は伝わるように配慮しました。高齢者の利用が多いことを想定し、不可欠な段差は最小限に抑えた。家族用玄関への訪問者は非常に多い為、玄関に隣接した玄関収納室を設けることで整頓がし易く、また生活臭さを排除しました。

■トイレ:ここにいる事が楽しい~わが家のトイレ~
近い将来、母親の車椅子での生活や介助を想定し、トイレ、脱衣、風呂の出入口は引き戸を採用した。玄関脇に移動した母親の部屋からはキッチンやバスルーム、トイレも一直線で到達できるように設計しました。プラン上、洋トイレに窓を設けることができない為「お月見」をモチーフにした照明を提案しました。壁に埋め込まれた照明は小トイレの照明も兼ねています。

Before


寒くて段差があるお母さんの部屋。トイレなどの水まわりにも遠く、自分の部屋で休む事ができませんでした。
工事後の部屋は、陽のあたる暖かい場所。足が不自由なお母さんの為に、気軽に外に出られる様にウッドデッキを設けてます。日中一人で過ごすお母さんですが、ご近所さんも気軽にデッキから覗いてくれます。

Before


お寺の行事があると通路になる脱衣室。とても落ち着いてお風呂に入れませんでした。プライベート空間をはっきり区画したお風呂では、誰にも邪魔されることなく寛げます。お風呂好きなご主人の為に脱衣室の向こうには坪庭が眺められます。

Before


段差だらけのトイレ。お母さんに負担を掛けていました。間取り上、窓を設ける事ができないトイレですが、代わりに木の香り漂う『お月見』を楽しんで下さい。深夜のトイレの際はその後の睡眠を妨げないように小さな照明が自動でつきます。


外観です。広々とした玄関が良い雰囲気です。









玄関の中はこだわりのある照明で落ち着きのある空間に。


吹き抜けは風通しがよくおしゃれな空間に。


記念に手の跡を残しました。こちらもまたおしゃれです。

お客様の声

「家族で語り合う時間が増えました!」と嬉しいお声をいただいてます。
また檀家さんからも「お寺も、私たちも変な気を使わなくてよくなった。どんどんお寺を使わなきゃ(笑)」と笑顔でお話くださいました。